言語を学ぶなら「親子で一緒」が重要?幼児の言語発達をサポートするには?
公開日:2023/03/31
子育てをしている親なら、子どもの言葉の発達について気になるところではないでしょうか。語彙力が増え、自分の気持ちや考えを言葉で表現できると、家族や友達とコミュニケーションをとることも楽しくなります。そこで今回は、子どもの言語能力を向上させるために、親としてどのような関りをするとよいのかについてお伝えしましょう。
語彙力を育てるには共有型の子育てスタイルが最適?
そもそも言葉の発達というのは、自分以外の他者とコミュニケーションをとりたいという意欲から出発しています。自分の気持ちを他者に伝え、理解してもらいたい。そういった感情が言葉を話したい、ひいては言葉を覚えたいという動機につながっていくのです。
そのため子どもの語彙力を育てるためには、身近な親とのコミュニケーションが重要になってきます。共有型といわれる子育てスタイルでは、子どもを未熟な人間としてとらえるのではなく、ひとりの人格をもった存在として尊重することを軸としているのです。
そのため、なにかにつけて親が子どもに一方的に指示したり、するべきことを強制したりするのではなく、子どもの興味関心を大切にして、子どもが自ら考え、自分の行動を決定していけるよう見守るスタンスを重要視しましょう。
また、子どもとのふれあいや会話を大切にし、子どもが感じている「楽しい」「くやしい」などの感情をともに感じる共感的な関わりが多いのも特徴です。こういった共有型の子育てスタイルでは、子どもは親とコミュニケーションをとることを楽しみ、自分が見つけたものや感じたことをどんどん親に伝えたいと思うようになります。
子どもの働きかけに対して、親が同じものを見ようとしたり、子どもの言葉に対してうなずいたりあたたかい気持ちで共感したりいてもらった経験が、子どもにとってもっと話せる言葉を増やしたいという意欲につながっていくのです。そのため、子どもの語彙力を育てるためには、共有型の子育てがとてもよい刺激になるといえるでしょう。
親の行動が子どもの学習のヒントになる
子どもの語彙力を高めるためには、親子で一緒に活動するということも重要です。子どもはおおよそ1歳までの間に、自分以外の他者の行動を観察して真似ることで、さまざまな経験を積んでいきます。そのように集めた情報の中から、どの情報に注意を向けるべきかの判断の仕方も身につけていくのです。それを繰り返すことで生活に役立つ知識として経験をもとに学んでいくのでしょう。
そのため、身近な大人の行動が、子どもにとっては学習の大きなヒントになります。特に共有型の子育てスタイルでは子どもが課題にぶつかったときに、すぐに親が解決策を教えるのではなく、どうすればうまくいくか子ども自身に考えさせることも大切とされています。
親が口出しをせずに子どもの行動を見守ることで、子どもは安心してじっくりと自分の頭で考えられるようになるのです。自分で考えてもうまくいかないようなときは、親が黙って手本を示すことも子どもの学習にとっては重要です。言葉で指示するのではなく、親自身の行動が子どものヒントとなるように対応することによって、子どもは親の姿を見て自ら解決方法を考えるようになります。
第二言語習得にも応答・共同は重要
こういった、子ども主体の子育ては、日本語の語彙を伸ばすだけでなく、第二言語の習得にも大いに影響します。
共有型子育ての中でも「応答」とは、子どもが反応を示しているものに対して、同じように親も注意を向けて子どもの反応に応答することです。
また「共同」とは子どもと同じものを見て、それについて指差しをしたり表情で反応したり、それについて一緒に会話したりすることをいいます。
どちらも、子どもが興味をもったものに対して、親が好意的な反応を示したり、子どもが学んでいることを共有したりする関り方です。こういった、応答・共同の姿勢は子どもの言語の学習にとって、とてもよい影響を与えます。子どもが注意を向けている対象に、親も目を向けたり話したりすることによって、その対象についてより関心をもち、自ら関わろうとするのです。こういった意欲が子どもの学ぶ力を促進します。また、子どもの関心に注意を向けるだけでなく親が一緒に参加して学ぶことも効果的です。
とくに第二言語の習得においては、子どもだけが学習に参加している状態と、親が一緒に活動に参加している状態とでは、子どもの言語能力の定着に差が出てくることが分かっています。たとえば、子どもが見ているビデオ教材を一緒に見て、おもしろいと感じることを共有したり、話す・歌うなどの活動を一緒にしたりすることで、子どもは楽しんで学習に取り組み、その結果第二言語の習得も促進されるでしょう。
まとめ
子どもの言語の発達をサポートするためには「親子で一緒に」活動することが重要だということが分かりました。その際には、親が望むことを子どもにやらせるのではなく、子どもが興味をもって自ら取り組んでいることに、親も関心をもつことが大切です。
子どもと同じ目線に立ち、子どもが何を見て、何を感じているかに心を寄せることで、子どもの学ぶ意欲はより向上します。そして子どもが自分の思いを表現することに対して、親が共感したり一緒に楽しんだりすることが豊かな言語能力を育む土台となるはずです。